保育士資格のある方、保育士としての経験がある方を求める声は大きいです。保育園、幼稚園の他にも、実に多くの環境で「保育士」が求められているのです。逆を返せば、保育士の勤務先は”保育園しかない”と考えているのは、非常にもったいないということになります。
今回は、保育士の幅広い勤務先、転職先について詳しく解説していきます。保育士の転職先にはどんな施設があるのか、どういった施設に転職するのが良いのか、その幅広い可能性についてお伝えしていきます。
保育士とは、社会的に多くのニーズがある職業の1つです。当記事が、自分に合った転職先を見つけるヒントとなれば幸いです。
保育士の有資格者が転職を希望する理由とは?
保育士が転職を考える理由としては、以下のものが挙げられます。
- 勤務先の働き方への不満
- 収入面や待遇面の不満
- 保育士という職業への不満
- 職場の人間関係の不満
- 結婚や育児等ライフスタイルに合わせた転職
保育士の転職理由として良くいわれるのは、やりがいと仕事量に収入が見合っていないということです。この部分に不満を持ち、転職を考える保育士さんが最も多いです。ただ、保育園以外の勤務先であれば、収入を大きく変えることもできます。
もちろん、職場の人間関係等も大きな理由の1つとなりますが、こちらは、保育士さんのみならず、働く全ての人が感じることであり、実際働いてみないと分からない部分でもあります。また、結婚や出産、育児によるライフスタイルの変更から、転職を考える人も多いです。
働き方、収入面、待遇面の不満に関していえば、転職することでその悩みを解決、改善できることもたくさんあります。勤務先によって業務、収入、待遇は大きく変わるため、「保育園」以外の選択肢を考えていくのも1つの方法です。
保育士の転職勤務先の候補とは?
『保育士資格』は国家資格の1つであり、保育園や幼稚園等の他、実に多くの勤務先があります。保育園や幼稚園しか転職先がないと思っている方もいるかもしれませんが、視野を広げれば、他にも多くの転職先の候補が見つかります。ここからは、保育士の勤務先の候補として挙げられる職場を詳しく解説していきます。どんな保育業務となるのか、転職するメリットも踏まえ、紹介していきます。
保育園への転職
保育園には、認可保育園、認可外保育施設、企業内保育所、託児所等の種類があります。待遇や職場環境は、保育園として在り方によって大きく変わります。保育士として気持ち新たに別の園に転職するケースは、全体の60%です。それぞれの待遇や環境を調べ、より良い転職となるように努めましょう。
児童福祉施設への転職
児童福祉施設というのは、改正・児童福祉法に規定される14の施設のことです。『保育士資格』を保有している方のみが、「施設保育士」として働くことができます。
児童福祉施設には以下のような施設があります。
- 乳児院
- 児童養護施設
- 重症心身障害児施設
- 盲児施設
- ろうあ児施設
- 肢体不自由児施設
- 知的障害児通所施設
- 母子生活支援施設
児童保育施設への転職
通称”学童”は、小学校1~3年生までの児童が、放課後、保護者の仕事の終わる迄の時間を過ごす場所です。放課後クラブ等といったりすることもあります。学童保育は小学生が対象となるため、宿題を見たり、縄跳びやドッジボールや鬼ごっこ等の運動をするなど、一般的な保育士の保育業務とは大きく異なります。
体力を要する仕事も増えるため、男性保育士に向いているといわれることも多くあります。
また、学童では、着替えや排泄介助といった保育業務をすることが少ないのも理由の一つとなっています。男性保育士が、女児の着替えや排泄介助をすることに至っては、一部の保護者からの心配の声も挙がる可能性があるからです。
そういった理由から、学童保育施設は男性保育士の活躍の場として注目されています。
ベビーホテルへの転職
ベビーホテルとは、20時以降の保育が可能であること、また宿泊を伴う保育ができる施設のことです。また、一時預かりの児童が半数以上を占めている保育施設でもあります。
”ホテル”とは言うものの、宿泊機能のない施設もたくさんあります。近年の待機児童問題や女性の働き方が多様化したことによる部分を担ってくれる施設となり、認可保育園にはない魅力があります。
もちろん、保育環境という上では認可保育園には劣りますが、夜間の保育を要するニーズも高まっています。どうしても預ける場所がない親御さんもいらっしゃいますので、こういった場所がなくなることはないでしょう。
夜間の勤務になること等も考慮すれば、良い転職となるケースも多々あります。
幼稚園への転職
保育士免許と幼稚園教諭免許は別の資格となるため、幼稚園へ勤務するには、必ず『幼稚園教諭免許』が別途必要となります。ただし、令和6年度までは、保育士資格を保有し、3年以上、4,320時間以上の勤務経験のある方であれば、幼稚園教諭免許の取得が可能となる特例措置もあります。
幼稚園勤務の大きなメリットとしては、保育園勤務よりも勤務時間が短く、夕方に帰宅することも可能な点です。子どもの帰宅等、ライフスタイルに合わせた働き方もしやすいという魅力があります。
また、保育士よりも幼稚園教諭の方が、平均的な収入が多いのも魅力です。保育園は”保育”を目的としますが、幼稚園は”教育”を目的としているので、保育業務に違いはあるものの、給与面の不満で転職を考えている方には、理想の職場となるケースも多いでしょう。
認定こども園への転職
文部科学省が管轄していた”幼稚園”と厚生労働省が管轄していた”保育園”を一体化させ、教育と保育の両面から、子どもたちを見るのが「認定こども園」です。認定こども園は、保育園コースと幼稚園コースとに分かれていることもあり、その中で保育業務を行っていきます。
幼保一体型の認定こども園では、どちらもを融合した施設のため、保育士資格と幼稚園教諭免許のどちらもを保有している必要があります。保育のみならず、教育もしていくこども園での勤務は、スキルアップにも繋がります。
先程紹介した通り、令和6年度までは特例措置がありますので、幼稚園教諭免許も併せて取得しておくと、今後の転職の幅も増えます。
ベビーシッターへの転職
ベビーシッターのお仕事は、主に依頼主の自宅に出向き、子どもの保育を行う仕事です。お預かりする子どもの数は、1~3人と少数になるため、1人1人に対する丁寧な保育が求められます。
また、結婚式の会場、商業施設、映画館等で一時的にお子さんをお預かりするのもベビーシッターの仕事です。一度に多くのお子さんを見る保育園等とは違い、1人1人のお子さんと向き合うことができる職場ですので、やりがいを見つけられる方も多いでしょう。
保育ママへの転職
保育ママは、家庭福祉員とも呼ばれます。3歳くらいまでの乳幼児を対象とし、依頼主の自宅にてお子さんを保育する仕事です。保育ママは1人あたり最大3人の子どもの保育を行います。保育時間は平均8時間程度で、それ以上の保育の場合は、延長料金をもらって対応する形です。保育時間や延長保育、金額の設定は保育ママ自身が行えるものですので、仕事量や時間に見合った金額をいただくことも可能です。保育ママの平均年収は約400~600万円ともいわれており、保育園勤務よりも安定して稼ぐことが可能です。
原則、小規模保育となるため、こちらも1人1人のお子さんと向き合う時間が長くなります。丁寧なサービスを提供すれば、保護者様との信頼関係も築け、より職場環境や待遇を良くしていくことも可能です。
保育士の資格とキャリアを活かした転職がおすすめ
このように、保育士の転職先は、保育園のみに留まりません。多くの環境で求められる仕事ですので、さまざまな可能性を考え、転職先を広い視野で見据えていくことが大切です。必ずしも保育士の仕事でなくとも、保育士としての経験は必ず、色々な職場で活かすことができます。しかし、やはり、国家資格である保育士資格、これまでのキャリアを活かした転職をする方が有利であるともいえます。
転職をするにあたって、より自分に有利な条件で理想の職場に務めるには、”即戦力”として働けるかどうかが、カギになってきます。そしてこれは、保育士のみならず、どの業界でも同じことでしょう。
既に「保育士」として働いたことがあるという経験は、評価されるべきものですので、より良い条件で迎えられることも夢ではないのです。
保育士資格はあるものの、”未経験”であれば、新卒の人と然程変わりませんが、経験があるのであれば、より良い条件の勤務先を探すこともできます。給与面や待遇面といった条件をアップさせたいのであれば、是非保育士資格と今までの経験を最大限活かし、転職活動を行ってください。